経済学者に騙されないために? 教養としての経済学 その2

前の日記では、「経済学を楽しく学ぶには」といった内容だったのですが、今回は...

The purpose of studying economics is not to acquire a set of ready-made answers to economic questions,
but to learn how to avoid being deceived by economists.
経済学を学ぶ目的は、経済の問題に対して一連の出来合いの答えを得るためではなく、どうしたら経済学者に騙されないかを学ぶことである。

有名なJ・ロビンソンのお言葉です。
この言葉、どちらかというと反・経済学的な立場の人たちによって持ち出されることが多いようです。でも「経済学者に信頼を置くな」という話ではないと思うんですよね。経済学周辺には、ちょっとトンデモ?なことを言う人たち(それも経済学者などという肩書きがついていたりする)がいたりします。そういうトンデモ?な「経済学者」に騙されないために、経済学というものを教養として身につけておくことは重要だということ。アルファブロガーだったり、テレビによく出てくるというだけで信頼しちゃだめだよ、ということでもあると思うんです。
というわけで、

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

いわずと知れた、経済学の入門テキストの定番です。
実は、マンキュー入門経済学(マンキュー経済学ミクロ編とマクロ編のダイジェスト)を買って読んだんですけど、「物足りないなあ」と思っていました。そんな折、ブックオフでミクロ編を1,000円で発見!すかさず購入。定価で買えば4,200円。分厚くて立派な装丁なんですが、読んでみたら、読みやすいし、わかりやすい。逆に、こんな立派な装丁で、とても懐にやさしいとは言い難いお値段なのがもったいないです。もっと気軽に広く読まれていい本です。他にもスティグリッツ先生やクルーグマン先生の教科書も読みやすくて、おすすめのようですが、こちらもいいお値段。


さて、感想ですが、均衡論がいかに優れた分析ツールであるかということと併せて、それがあくまでもモデルであるということ。市場を評価する際は、弾力性、外部性、公共財などなど、さまざまな要素の捉え方によって、評価も変わってくるということがよくわかる内容です。「経済学の常識」とか「経済学の定説」とか「ニュートン万有引力の法則のようなもの」などと言って、ものすごく単純な均衡論を使って自説を押し付けてくる一部エコノミスト?の強引さとは大きく異なります。
僕は学生時代にミクロ経済学を軽く学んだことがあります。だから、最近の市場妄信的な一部エコノミスト?の発言を聞いて、「いつの間に経済学ではそういうことが常識になったんだ?」という疑問を持っていたんですけど、違いました。よかった、よかった。あらゆる学問において、いい加減なことを言う「専門家(カッコ付)」なんてのがいて、それに騙される人たちも多かったりするのですが、経済学についてもまったく同じなんだなぁ、ということですね。
というわけで、いい加減なことを言う一部の「経済学者」に騙されない為にも、最適な本です。もうとにかく読みやすい、わかりやすい。いずれ、この本で得た問題意識(特に労働市場について)をブログに書こうと思ってます。


さあ次は、マクロ経済学。こちらのほうがいろいろな論争があり、特に短期での政策の効果については経済学者によって言うことも違ったりするので、楽しみ楽しみ。といっても、馬鹿にならない値段なんだよな...